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歩きながら、彼と過ごしたたった一晩の出来事が、CDトラックをリピートするように、何度も何度も繰り返し蘇ってきた。
その晩味わったちょっと気恥ずかしさの混じる悦びを思い出すたびに、幸福感で息が詰まる。
けれど、少し調子の悪い私のプレーヤーはたまに少し先のトラックを再生しては、虚しさと孤独感を思い出させた。
私はわざと歩を大きくして、速度を上げ、身体を揺らしながら歩いた。
プレイヤーが、このトラックを跳ばして、まだ聴いていない新しいトラックの再生を始めてくれることを願いながら・・・。
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