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初めて出会った瞬間から、この男の残虐さは知っていたつもりだった。
小型と大型の斧という、残忍さを漂わせる武器を装備しているというだけでも十分その雰囲気は有るのだが、それに加えて、人間の首を切り落とし、その首を持ち帰るというのだから。
何となく、分かってはいた。
この男に付いて行くのは、危険な事だと。
しかしあの状況で頼れるのは、彼か、彼に殺された山賊くらいしか居なかった。
「『中々使えると思うけど』――……って言って来たのは、テメェだよな?」
唇の片端を吊り上げ、余裕の笑みを浮かべて目の前に立っているのが、いっそ悪魔なら良かったと思う。
「クロ……あの、お言葉ですが、手加減て言葉知ってる?」
「当たり前だ。だからしてやってんだろ? 手加減してなかったら、テメェは今頃軽く五回は死んでるぜ」
小型の斧、トマホークの峰で肩を軽く叩きながら見下ろして来るクロの言葉に、反論出来ない。
そんなクロの前に転がっているのは、煌夜だ。
内側の世界から出て来て間も無く、外の世界の何も知らない状態で、単独で動くのはまずいと踏んでクロに付いて来た。
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