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「ひぃぃいいい」
俺は山崎の頭の横から壁に手をつき逃げ場を無くすと、可愛い恋人に顔を近付けた。
ああヤバいな、顔がニヤけて仕方ねぇ。
「…………舐めろ」
「はァ?!!」
…………………。
なんかものすごい信じられないモノを見るような目で見上げられたんだが。何故だ。
「傷は舐めりゃあ治るっつーだろ?」
「あああー、そっちですか………」
「へぇ?なに想像したのか是非聞きたいなぁ僕ー」
「ええええ遠慮します!」
ニヤニヤ笑ってやれば、顔を真っ赤にして目を逸す。それにまた笑ってから、俺はべ、と舌を出した。
「ほれ」
「…………失礼しますっ」
促すように顎を右手で掴んでやると、覚悟が決まったのか山崎は俺の両頬に手を添えた。
目を開けたまま眺めていると、いい加減恥ずかしくなったのか瞼を伏せる。
「ん………っ」
出した俺の舌を、そろそろと舌先でなぞる。丁寧に何度かそれをしたら、今度はそれを咥えて……。
はっ、ちゃんと分かってんじゃねぇか。
「んんんっ?!」
誘われた通りに口内を犯してやれば、ビクリと肩を跳ねさせる。
それに気をよくして壁につけていた手で後頭部を抑えてやると、必死になってすがりついてきた。
(あー……かわいーなーったく……)
とりあえずその気持ちを伝えておこうと、舌を巧みに絡め声を引き出し。そのままそれを強くすってやろうとした、
……………ら。
「…………………」
「んん?!ふ、副長?!!」
「あ、あぢぃ…………」
俺は情けなくも山崎の肩に倒れこんだ。
熱い。つか息すんのがしんでぇ。体が重い頭が痛い。
くっそーいいとこだったのに俺の馬鹿。持ち堪えろよそれくらい俺の体。
「あーあーもう、風邪引いてんのに無茶するからですよ!ほら、布団に戻る戻る」
言いながら山崎は俺をずりずり引きずって布団に戻した。
上半身は上げたままだ。なんだ、まだなんかあんのか。
「ほら、もうだいぶ冷めちゃってますけどお粥。薬飲まなきゃいけませんから、食べてください」
そう言ってやつはレンゲを差し出した。
さっきのような湯気は見えない。更には、冷めて少し硬そうだ。
…………………。
ぱくっ
「……………うまい」
「ありがとうございます」
その笑顔が一番の薬だ。
………とは、流石にクサくて言えなかった。
おわり。
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