好き“でした”

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【好き“でした”】 アンタのその腕も、瞳も、声も。 何もかも全て。 全てが、俺のために在るのだと茫然とどこかで思っていた。 それが、そもそものアヤマチ。 アンタにとっては、俺なんて長い年月に偶然関わった人間の、一人。 切り捨てることなんて、簡単だったんだろう? 俺を守ってくれたその腕だって、代わりがあったからこそ、切り捨てたんだろ? 「、陛下」 陛下って、呼ぶなよ。 アンタの陛下はもう俺じゃないんだろ。 「―――魔王、陛下」 ああもう、嫌だな。 アンタの声、一番好きなのに。 今は一番、聞きたくない。 「なにかな?」 愛してる。 愛してました。 愛も語れないようなガキだけど、それだけは絶対に真実(ほんとう)だったんだ。 それなのに、 「――――――ウェラー卿」 裏切ったのは、アンタだ。 ■□■□■□■□ 随分と前に書いた代物。 陛下はきっと笑顔で振り返ったのでしょう。 そしてコンラート閣下は多分泣きそうな顔になっている、はず。←
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