~孤独~

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「けど、ある日、私の周りからある音が消えたのです」 あたしは感情を表に出さないまま、話を聞いていた。 笑いもせず、不快そうにもせず、ただ、無表情で聴いていた。 「私はその音を取り戻したくて……だから、《黒猫雑貨店》に行こうとしました。けど、そこにいらっしゃった魔女さんを見たとき、失礼ながらも思ってしまったのです」 カラスは言葉を切って、哀れむように、辛そうに言った。 「あぁ、なんて悲しそうで、孤独な人なんだ、と。その瞬間、私は直感しました。あの魔女さんに頼んでも、私の求める音は取り戻せない。それならば、私が取り戻そう」 「そう考えたのに……」とカラスは言葉を震わせた。 あたしは外の景色から、視線をカラスに戻した。 すると、先程までお姉ちゃんに向けられていたであろう哀れみは、明らかに今度はあたしに向けられていた。 「それなのに……今のあなたは魔女さんと同じ顔をしています」 「……お姉ちゃんと、同じ?」 その意味をゆっくり考えた。 そして、理解したあたしは勢いよく立ち上がり、カラスに掴みかかった。 ゴンドラが激しく揺れたが、あたしもカラスも気に留めなかった。 「一緒にしないで!お姉ちゃんと一緒にしないでよ!」 どれ程振りなんだろう。 あたしがこれほどまでに、感情むき出しにしたのは……。
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