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あのお昼以来、前にもまして奏くんは良く話しかけてくれた。
相変わらず奏くんの周りにいる女子達からは色々言われた。
言われた時は、また黒い感情が湧き出してくる。
胃がキリキリ痛んで、吐き気もする。
でも学校には休まず行っていた。
別に何か意地悪をされる訳でもないし、何よりもわたしの王子様に会いたかった。
奏くんの側に居る時だけ、わたしの気持ちは穏やかだった。
もう奏くんが居ない生活なんて考えられない…。
奏くんが欲しい…。
優しい笑顔も、クルクル変わる表情も、たまに見せる寂しそうな顔も…。
全てが愛おしい…。
何度も夢を見た…。
わたしと奏くんが手を取り合って笑っている夢…。
詩音と響くんが仲良くしているのを見ると、わたしと奏くんに重ねてしまう。
だってわたし達は双子。
同じでしょ?
4人でご飯を食べる機会も増えた。
詩音は毎回少し嫌そうな顔をしていたけど、わたしにはどうでも良かった。
そのころから、わたしは少しずつ前を向いて歩けるようになった。
まだ長いけど、前髪も少し切った。
ほんの少しだけど、お化粧もした。
奏くんは、そんな些細な事にも気づいてくれた。
幸せだった…。
だんだん、自分だけのモノにしたくなってきたんだ…。
奏くん…愛してるの…。
わたしを見て…。
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