接近

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いつも通り、明るい気持ちともやもやした気持ちを抱えて学校に行った。 わたしはいつも早く学校に着く。 強引に押し付けられた学級委員の仕事があるからだ。 別に早起きは苦手じゃないし、学級委員の仕事も嫌じゃない。 いつも通り日誌を職員室に取りに行き、みんなが来るまでは1人で机に座ってボーっとしている。 考えるのは奏くんの事ばかり…。 確か両親は亡くなってたんだっけ? ご飯とかどうしてるんだろう…。 わたしが作ってあげたいなぁ…。 そんな事を考えていると、徐々に教室には人が 増えていき騒がしくなってくる。 あっという間にチャイムが鳴って担任が入ってきた。 あれ? 奏くん来てないや…。 どうしたんだろう。 早く来て…。わたしの王子様。 あなたが来てくれなくちゃ、わたしが学校に来てる意味はなくなるのよ…。 担任は全員が席に着いたのを確認する。 奏くんの席は空いたまま。 「欠席は霜柳だけかー。」 「えっ、せんせー奏どうしたのー?」 「あぁ、何か風邪引いたらしくて今日は休みだー・」 クラス中でえーっと言う声があがる。 奏くんが学校を休むなんて始めて…。 大丈夫かしら…。 それにしても…わたしも休めば良かった…。 彼が居ない学校なんて…。 それでも早退なんか出来るわけもなく、わつぃはそのまま授業を受けた。 気分が沈んでいくわ…。 お昼もいつもは中庭に行っていたけれど、今日は図書室で過ごした。 教室は居づらいし、詩音達の幸せそうな顔を見ながら食べるのはもっと嫌だった。
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