接近

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わたしは嬉しいやら恥ずかしいやらでドキドキしながらも、作ったおかゆを差し出した。 「うわ、旨そう…いただきます。」 奏くんはおかゆを一口食べて目を見開いた。 「めちゃくちゃ美味しいよ!!オレこんな美味しいおかゆ食べたの初めてだ。」 満面の笑みで言ってパクパク食べていく。 良かった…。 わたしは奏くんの笑顔を見れてほっとした。 「オレ風邪引いて良かったよ。」 「あはは、でも早く治してね。みんな心配してるよ。」 「そうだね、ありがとう。」 わたしの作ったおかゆを全部残さず食べて、薬を飲んだ。 もう少し一緒に居たいけれど体調が悪いんだもの…。 寝かしてあげた方がいいよね…。 わたしは奏くんに、ゆっくり寝てねと言って立ち上がった。 「愛音チャン、ほんとにありがとう。」 ソファに横になったまま、さっきよりは少し元気そうな笑顔で奏くんは言った。 「どういたしまして。じゃあ学校で待ってるね。」 わたしも笑顔を返した。 ちゃんと笑えてたかな? 部屋を出てドアを閉めると一気に力が抜けた。 はぁ…ドキドキして変になりそう…。 やっぱり奏くんが好き…。 奏くんも嬉しそうだったし…。 もしかしたらちょっとでもわたしの事考えてくれてるのかも…。 そう思うと、自然と笑顔になっていく。 閉まっているドアに向かって 「愛してるわ…。」 と囁いてマンションを後にした。
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