わたし

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「愛音ー!!ちょっと待ってよ!!」 後ろから大きな声でわたしの名を叫びながら駆けてくる少女。 彼女の名前は詩音。 わたしの双子の妹。 「早く行かないと遅刻しちゃうよ。」 わたしはなるべく誰にも顔を見られないように、俯いたまま答えた。 わたしと詩音。 顔は同じはず…一卵性だもの。 「詩音ー!!おはよー。」 「あっ真奈ぁおはよー。」 詩音に声をかける女友達。 わたしは友達少ないから羨ましいな…。 二人が話始めたのでわたしは先に行く事にして、先に行くねと声をかけて早足で学校に向かった。 「詩音のお姉さん、相変わらず暗いねー。」 「ねー。せめてコンタクトにしたらいいのに。」 「前髪も上げればマシになるんじゃない?詩音と同じ顔なんでしょ?勿体無い…。」 「前髪は…ちょっとね…。」 詩音達の声が聞こえる。 いいのよ…。 どうせ何したってダメなんだから…。 わたしは無意識に自分の額を擦った。 わたしの額には大きな傷がある。 小学生の頃に階段から転んで、下に置いてあったおもちゃにぶつかって切ってしまった。 確かあのおもちゃは…。 わたしはこの傷が大嫌い。 鏡を見るのも大嫌い。 傷を見られないように前髪を伸ばしていたら、視力が悪くなっちゃったの。 今のわたしは長い前髪で顔を隠して眼鏡をかけてる。 例え眼鏡でも日常生活が出来れば問題ないもの。 コンタクトなんて怖くて…とてもじゃないけど出来ないわ…。
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