わたし

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「こんなところで何してんの?珍しいねー。」 そう言う詩音の手にはお弁当が2つ握られていた。 「愛音チャン1人?」 響くんが優しい笑顔で話しかけてくれる。 …詩音の『姉』に。 「うん…天気がいいから…。」 「あたしたちもここでお昼しようと思ってきたのよ。 「一緒にいいかな?」 えっ一緒に…? 嬉しいけど困るな…。 誰かに見られたら、また何か言われるかもしれない。 返答出来ずに黙ってうつむいていると、2人は私の座っているベンチのすぐ下の芝生に腰を降ろした。 詩音は返事をしなかったわたしを少し不機嫌そうな顔で見たけれど、響くんが、座りなよと言ってくれたので座りなおした。 詩音は朝が苦手だ。 でも響くんと付き合いだしてから、早起きして毎日お弁当を作っている。 今日も作っていたからそれを食べるのだろう。 わたしは2人が食べ始めたのをぼーっと見ていた。 詩音…。 姉のわたしが見てもきれいな子。 響くんはとても優しそうだし…。 詩音が響くんと付き合ってるおかげで、わたしは奏くんと話せるようになった。 感謝はしている。 わたしも詩音みたいだったら…。 もっと自信を持てるのに…。 この傷が…。 この傷がわたしの人生をダメにする。 あぁ…詩音が羨ましい…。 その傷1つない顔が羨ましい。 同じ顔なのに…。 双子なのに…。 なんでわたししだけ…。 黒いモヤモヤした気持ちが沸いてきて詩音を睨む様に見てしまう。 羨ましい…。憎らしい…。 響くんの隣で笑っている詩音はわたしには眩しすぎた。
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