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「いいかい?ここのところザールブルグの近辺で、旅商人や旅行者を脅して金品を奪う盗賊団が頻繁に出没するって噂があるんだ。……それで、被害に合った人達があまりにも多いんで、とうとうヴィント国王が盗賊団に多額の賞金をかけたってわけさ」
「こ、怖い……」
シアが怯えて震えたが、
「はははは、心配するなよ、大丈夫だ!オレがきっと、その盗賊団を捕まえてやるから!」
と、ルーウェンはたくましく答えた。
「賞金かぁ……」
とても欲しそうな口調で、マリーがつぶやく。
「マリー、何を考えてるの?まさか盗賊を捕まえるなんて、無茶なことを言い出さないでね」
隣を見ると、シアの心配そうな瞳があった。
「わ、わかってるわよ、シア……あたしは地道にコツコツと材料を集めて、イングリド先生の試験に受かる作品をきちんと作らなきゃいけないんだもんね」
自分に言い聞かすかのように、マリーは頷いた。
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