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「材料?魔術士が、何の材料を探してるんだい?」
興味ありげに、ルーウェンが聞いてくる。
「マリーは、ザールブルグで魔法の道具を売るお店を出してるの。でも始めたばかりだから、まだいろんな薬草だとかが不足してて……それで二人で探しに出かけてきたのよ」
「ふーん、そうなんだ」
シアの説明にルーウェンは相槌を打った後、急に笑みを見せてきた。
「もしよかったら、オレが手伝ってやろうか?」
「え?あなたが?何を?」
「もちろん、キミ達の護衛だぜ」
マリーを見つめながら、ルーウェンは軽くウィンクをした。
「な、何よ……その手は?」
「決まってるだろ、先払いさ。俺も生活が大変なんでね!」
差し出された掌を、マリーはパチンと手で叩いて払った。
「あたし、お金ないわよ!」
「……威張って言うことかよ?」
「仕方ないわよ、ないんだから」
「はははは、正直なんだな!気に入ったよ!」
「か、勝手に気に入らないでよ……お世辞を言ったって雇わないわよ」
「わかったわかった。じゃあ、逆にオレが仕事を頼んでやるよ!」
「え?」
意外な申し出に、マリーは思わず自分の耳を疑ってしまった。
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