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「ねぇ、載ってないの?」
しびれを切らせたシアが、だんだん心配そうな顔になって尋ねてくる。
さっきからずっと、マリーはページをめくり続けているだけなのだ。
「う、うーん……えーっと、こっちかな?」
歯切れの悪い返答をしながら、別の参考書を手に取る。
「マ、マリー?」
「ちょっと待ってよ、もう少しだから!」
途方もなく細かく綴られた文字の海に、苛立ってきていた。
「ねぇ、マリー?」
あくまでも冷静にシアは声をかけてくる。
「な、何よ?」
苛立った気持ちそのままに、シアを睨みつけてしまっていた。
すると彼女は、すっと開いたままの参考書を指さした。
「ここに『燃える砂について』って書いてあるけど……」
「……へ?」
とたんにマリーは目が点になった。つい今さっきまで見ていた参考書だ。
「あ、あれ?書いてあったの?」
「うん、ここに……」
「あははは、ご、ごめーん。見落としちゃったみたい!」
「今まで、ちゃんと読んでなかったのね?」
「……ちょ、ちょっとね。疲れてきてたから……そこはあんまり注目してなかったのよ」
「そういう問題かしら……」
少し呆れた声だった。
シアがそう言うのも無理はない。マリーが改めてその参考書のページを見てみると、目立つように『燃える砂』という見出しが、デカデカと書かれてあったのだから……。
ドジ丸出しである。
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