第二章  初めての依頼

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      「ねぇ、載ってないの?」     しびれを切らせたシアが、だんだん心配そうな顔になって尋ねてくる。     さっきからずっと、マリーはページをめくり続けているだけなのだ。     「う、うーん……えーっと、こっちかな?」     歯切れの悪い返答をしながら、別の参考書を手に取る。     「マ、マリー?」     「ちょっと待ってよ、もう少しだから!」     途方もなく細かく綴られた文字の海に、苛立ってきていた。     「ねぇ、マリー?」     あくまでも冷静にシアは声をかけてくる。     「な、何よ?」     苛立った気持ちそのままに、シアを睨みつけてしまっていた。     すると彼女は、すっと開いたままの参考書を指さした。     「ここに『燃える砂について』って書いてあるけど……」     「……へ?」     とたんにマリーは目が点になった。つい今さっきまで見ていた参考書だ。     「あ、あれ?書いてあったの?」     「うん、ここに……」     「あははは、ご、ごめーん。見落としちゃったみたい!」     「今まで、ちゃんと読んでなかったのね?」     「……ちょ、ちょっとね。疲れてきてたから……そこはあんまり注目してなかったのよ」     「そういう問題かしら……」     少し呆れた声だった。     シアがそう言うのも無理はない。マリーが改めてその参考書のページを見てみると、目立つように『燃える砂』という見出しが、デカデカと書かれてあったのだから……。     ドジ丸出しである。      
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