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付き合い始めて一週間。
彼女になってからはじめて二人で帰る帰り道。
けれど、二人の会話も距離もこれまでと何一つ変わらない。
私は、寄り道して買ったイチゴ味のアイスの最後のひと舐めをほおばった。
溶けつつあったアイスは、口の中であっという間に冷たいジュースになってしまう。
「あぁー私もメロン味が良かったのに~」
寄り道した駄菓子屋で最後の一つだったアイスのメロン味を、タカは食べてしまった。
「大体さー私がメロン味好きなの知っているくせに!」
いつもイチゴ味を選ぶタカが、何故か今日に限って私の好きなメロン味を欲しがった。
「いいじゃないか。早い者勝ちだ。」
そうは言うが、先にメロン味を手にしていたのは私だった。
それを、自分が食べると言い出して有無を言わぬままに私の手からアイスを取り上げてしまったのだ。
「なによ!勝手に取ったくせにー。」
私は頬を膨らませ、不満の限りをタカにぶつける。しかし、前を歩くタカにはそんな表情も見えていないだろう。
すると、前を歩いていたタカが突然立ち止まった。
前を向いたまま、無言のタカ。
「何よ!?どうしたのよ!?」
アイス一つで少し、言い過ぎたかな・・・怒らせてしまったかな・・・と私の頭に不安がよぎった。
「タカ?」
追いついた私は顔を覗き込んだ。
すると、タカは私の腕を掴んで引っ張った。
「ちょっ、な・・・っ!?」
私には抵抗する間もなく、引っ張られるままタカの腕に抱き留められる。
そして、タカの顔が近づいてくる。
「タカっ!?」
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