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今まででこんなに帰路が長く感じたことはなかった。
道にはミズタマリと、倒れた柱が散乱し、行く手を阻んだ。
いつもの角を曲がると、そこにはガイヤの家がある……はずだった。
しかし、建物は全壊していて、元の形を想像することが困難であった。
「やっぱり無事なわけないか……。カヤの家にも行ってみる?」
「いい……」
「そうか。じゃあ戻ろう。肩貸そうか?」
「大丈夫……」
カヤはゆっくりと歩き出し、ガイヤも隣に並んで歩いた。
その時、道の向こうに人影が見えた。
「あれはサエちゃん? どうしたのかな?」
「わからない。ただ様子がおかしいのはたしかだ」
「そうだね……」
二人は立ち止まると、サエが全力疾走でこちらに走ってくるのに首を傾げ、カヤは叫びながら尋ねた。
「どうしたの?」
「助けて!! 何か変なのに追われてるの!!」
「わかった!! ガイ君行こう」
「ガイ君って言うな」
二人はサエの元に走って向かった。
距離はすぐに縮まり、ガイヤとカヤが止まろうとした時、サエの後ろから何かが追ってくるのがうっすらと見えた。
まだ距離が開いているせいで、影でしか確認できない。
「何やってんの!? はやくあれに魔法撃って!! 今すぐ!!」
「いきなりなんだよ」
「いいから!!」
「わかった」
サエの強い訴えにガイヤはしかたなく詠唱をはじめた。
「雷神よ。力の一部を我が前に示したまえ」
狙いを定めると、一瞬ガイヤの手が光り、サエを追っていた影が爆発した。否、正確には、凄まじい速度で放たれた雷が当たったのだが、肉眼で確認できるのは、敵に当たったということだけだった。
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