2章∮現実∮

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 今まででこんなに帰路が長く感じたことはなかった。  道にはミズタマリと、倒れた柱が散乱し、行く手を阻んだ。  いつもの角を曲がると、そこにはガイヤの家がある……はずだった。  しかし、建物は全壊していて、元の形を想像することが困難であった。 「やっぱり無事なわけないか……。カヤの家にも行ってみる?」 「いい……」 「そうか。じゃあ戻ろう。肩貸そうか?」 「大丈夫……」  カヤはゆっくりと歩き出し、ガイヤも隣に並んで歩いた。  その時、道の向こうに人影が見えた。 「あれはサエちゃん? どうしたのかな?」 「わからない。ただ様子がおかしいのはたしかだ」 「そうだね……」  二人は立ち止まると、サエが全力疾走でこちらに走ってくるのに首を傾げ、カヤは叫びながら尋ねた。 「どうしたの?」 「助けて!! 何か変なのに追われてるの!!」 「わかった!! ガイ君行こう」 「ガイ君って言うな」  二人はサエの元に走って向かった。  距離はすぐに縮まり、ガイヤとカヤが止まろうとした時、サエの後ろから何かが追ってくるのがうっすらと見えた。  まだ距離が開いているせいで、影でしか確認できない。 「何やってんの!? はやくあれに魔法撃って!! 今すぐ!!」 「いきなりなんだよ」 「いいから!!」 「わかった」  サエの強い訴えにガイヤはしかたなく詠唱をはじめた。 「雷神よ。力の一部を我が前に示したまえ」  狙いを定めると、一瞬ガイヤの手が光り、サエを追っていた影が爆発した。否、正確には、凄まじい速度で放たれた雷が当たったのだが、肉眼で確認できるのは、敵に当たったということだけだった。
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