2章∮現実∮

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「はぁ……相変わらず凄い速度と精密度ね……」  サエが尊敬の眼差しで感想を述べる。さっきまでの慌てようなど微塵も感じさせない。  このサエと呼ばれる少女はカヤの大親友で、いつも活発的で、走り回っているイメージが強い。 「そんなことより、サエは何してたんだ?」 「襲われてた」 「は?」 「だから、襲われてたの!!」 「誰に?」 「うーん、なんて言ったらいいんだろ……。体が鱗みたいなので覆われていて、湿った土みたいな色で……」 「もしかして、体長は人より少し低くて、口は耳まで裂けてたりする?」 「そうそう! なんだ、知ってるんじゃん」 「知ってるもなにも……」  ガイヤは苦笑しながら周囲を見渡した。三人を囲うように、今説明された化物が紫色の舌で、自分の黒くて長い爪を舐めていた。 「嘘……」 「囲まれてるね」 「そうみたいだ」  カヤは普通の反応をしていた。つまり、怯えていた。  それにくらべて、サエは普段と変わりない表情をしているが、全く平気というわけではなさそうで、かなり慌てていた。 「どうしよう」 「やるしかないだろ。いけるか?」 「うん。無理」 「笑顔でいうな。また俺一人でやるのか」  ため息をつき、ガイヤは周囲の状況を確認した。  化物の数は全部で八、前後左右に二匹ずつセットでいた。 「数はいるが力はたいしたことない。弱い魔法の連発で……。いや、一気にいくべきか……」 「そんなの決まってるでしょ。一気よ一気」 「簡単にいうな」 「いいからはやくしなさいよ」 「はぁ……」  サエと会ってからため息しかしてないな、と思いながら顔を引き締めた。  化物達がにじり寄る中、ゆっくりと詠唱をはじめた。
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