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「雷鳴轟くところに雷神ありて」
呪文を唱えながらゆっくりと右手を空に向けて掲げた。
「遥か彼方の遠い世界より」
掲げた手の先に広がる青空はみるみる内に黒い雲に覆われ始めた。
「我に力を分け与えたまえ」
化物達が異変に気付き、一斉に飛び掛かった時には、既に呪文は終わっていた。
空が一瞬光ると、地面がえぐれ、強い衝撃が地震を起こした。
周囲には化物の影すら見受けられない。落雷だと気付いたのはしばらくしてからだ。
「ガイ君すごい……」
「さすがガイヤね」
「お前ら……」
「ガイ君……」
「だからガイ君って呼ぶんじゃ――」
「ユキちゃんとリク君、大丈夫かな?」
ガイヤは息を呑んだ。
村の入口に二人を置いてきたのは自分だ。ここが襲われて、向こうが安全な保証はない。
気付いた時には足が勝手に動き出していた。
「ちょっとガイヤ。急にどうしたの!?」
「今説明してる時間はないと思うよ?」
「そだね。このままじゃ置いてかれちゃう」
二人は、なにふりかまわず走り続けるガイヤの背中を追った。
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