トークでABC小説

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A 「あう、さっそくもさっそくなのですけれど……ものの見事に迷ってしまいました」     朝。生徒もまだほとんど登校していないぐらいの時間帯であるが、そんな人けのない御樹遠中学校の廊下にて、本日初登校となる少女、須佐祖志瀬は途方にくれていた。 荷物は重いし、自分が今どこにいるのかも正直良くわかっていない。そんな状況の中、どこからか聞こえてきた歌声に、志瀬は一筋の光明を見たのだった。人がいる。校長室への行き道が聞ける。と。     B 「ベッティー、ベッティー、アルフィーベーティー♪」 歌声の主を見て、志瀬は面食らう。 歌声をたどっていった廊下の先にいたのは、美しいブロンドの髪をポニーテールに結った碧眼の美少女であった。階段に腰掛け、箒をギターに見立てながら良くわからない歌を歌っている。     C 「ちょっとすいません」 言葉が通じるのかどうかも不安だったが、勇気を振り絞って話しかけた。   D 「ダメネ、イマトリコミチュウヨ」 ちら、と一瞥されただけで、見事なカタコトでにべもなく返された。   E 「えっと、比較的暇に見えたりするのですが」   F 「フ××ク!!アンタノメハフシアナネ」 金髪少女口悪っ!!思わず伏せ字にしてしまった。 G 「ガーン!!割と辛らつなお叱りを受けました!!」 初対面にいきなり罵倒され、志瀬はショックを受けた風に頭を抱える。
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