あれ?

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「………おはよ」 彼はよ~く見ないとわからないほど、極細な一本の直線のごときまぶたから私を見つめて言った。 彼は私の幼なじみ。あだ名はウマ。顔が長くて、手足が細く、足が速かったから。ツラまで馬面だったら申し分ないのだが。 この世にそんなに完璧な馬人間がいたら、その人こそが正真正銘の『馬』と呼ぶにふさわしいのだろう。きっと祖先は馬なんだ。そんな人間が現れたら、彼をウマと呼ぶのはやめてやろう。 しかし、なぜそのウマが私を見つめて朝一番に挨拶をするのだい? 私は寝起きの脳内コンピュータで必死に記憶のメモリを起動させる。起動させながら自分の格好に気がつき、いったん起動が中断された。 キャミソール一枚に自分の物ではないジャージ。ブラジャーもない。そして、しっかりとウマに抱擁されている。 脳内がパニックになってきた。しかし、さらにそれを促進させるようにウマの瞳が近づいてきた。 頭が真っ白になった。脳内コンピュータがショートしたみたいだ。
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