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眼下には煙霧がかかる海がひろがっていた。
白一色の潮騒の中で、雪から浮かび出た海は、鉛色の雲と相まって凍るほどだった。
私は足がすくんだ。
全てが枯れ果て、雪に覆われた砂丘に、波の音がどよめく。
「ここだ」
私は千鶴の手をさらに握りしめて、力強く踏みきった。
「どうしたの!? 松本さん!」
千鶴の言葉も無視した。そして、そのまま進んだ。
彼女はよろめいた。
「松本さん!」
「一緒にきてほしい」
私は立ち止まることなく傾斜の雪を一歩一歩踏みしめる。
「怖いわ!」
千鶴は踏ん張った。
「大丈夫だ」
私の前に最果ての蒼がひろがる。
潮風が二人の間を駆け抜けた。
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