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読んでくださり、誠にありがとうございました。
この作品はサークル「小説技術向上会」で開催された小説大会参加作品です。
テーマが「冬」ということでしたので、雪を題材にしました。
雪は存在を一瞬にして溶けてなくなります。それが人の生死と似ている気がしました。
題名「なごり」は、後に残された物へのこころの傾け――消えてもなお消えない存在を意味します。
最初、題名を「あらたま」にしようと考えていました。
魂を洗う、改めるという風に、この作品のテーマである「生と死、愛と性」にぴったりだと感じました。しかし、書き進めていくうちに、この主人公にとって彼女の存在はどう変わっていくのだろう、と考えました。
ラストは後味が悪いです。まだ続いているような気さえします。これこそ「なごり」であり、人間が生きていくうえで、完結はないということを表現しました。
簡単に魂が改まるほど人生は温いものではありません。生きることは時に残酷で逃げたくなります。ですが、ほんのささいなことで生きようとするのも人間です。
人の心に波紋を残す――それがこの作品「なごりの女(ひと)」千鶴なのです。
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