解説

4/5
前へ
/36ページ
次へ
 しかし、彼女は激情的に「死んでやるから」というタイプでもないので、メールかなにかで「死にたい」というような内容を送ったのだろうと思います。 P・27 いきなり浩一が死を決意するので、彼女は戸惑います。浩一は衝動的になったのだろうと思われます。 P・28 最後のセリフ「もう、逃げないで」→浩一が「死にたいんだ」と言っただけで、自殺の経緯を全く彼女は知りません。彼女は「もう」と言います。彼の動機をうすうす気づいていたのでしょう。それを自分の自殺願望と重ねて「もう、逃げないで」と言ってしまう。一時的な感情の高まりなのだと思います。  最後、この二人はどうなってしまったのか。きっと、携帯電話の番号を交換したものの、それ以降再会することがないのかな、と思ったりします。二人のかがやいていた瞬間を切り取った作品といいますか、もしかすると、浩一は再び自殺をこころみるかもしれません。しかし、ラストで「海は濃い色に変わった」とあるので、生きる希望といいますか、しっかりと色をとらえることができたので一時かもしれませんが、自殺願望がなくなったのだと思います。  そんな浩一の人生にあとを残していった人が千鶴なのです。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加