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ある日、僕は唄を作った。
僕自身が単純だから、そんな歌しか作れない。
大切な人のためだけに作ったし、そんなもんだろ?
よくあるラブソングと言われても、それが僕ら二人の前だけで特別であればよかった。
そんなある日。
僕はまた、あの場所へ行こうと言った。
しかし、彼女は頑なにそれを拒む。
「帰り遅くなって泣いても知らないぞ?」
「泣きませんーっ」
と、彼女は言うけれど、人は見かけ程強くない。
自分で思ってるよりずっと泣き虫だったりする。
「一人で大丈夫だから!」
「……はぁ…」
「ぇ? ちょっ、放して!」
彼女はかなり嫌がったけど、無理矢理連れていくことにした。
例の、地図にない場所。
あの日のように、二人で手を繋いで、この日は彼女が大切にしている犬も連れて。
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