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それからの私は、彼に逢いたくて、声にならない声でずっと、彼の名前を呼び続けた。
悲しくて、苦しくて……一人の夜が怖くて。
そんなときは、遠い夜空を見上げて、彼を探す。
「私は元気だよ……」
暗い部屋の中で、そう零(コボ)す。
ふと、右手を夜空に翳(カザ)した。
彼がくれた指輪。
私と彼を結ぶ、最後の絆。
なんで左手に付けてくれなかったんだろう……
その理由も、今ではわかる気がする。
「あの人も、付けてくれてるのかな……?」
震える手を、ギュッとにぎりしめる。
いつか彼に伝えたかった気持ち。
その想いは、ずっと私の心の中に眠っている。
どこか、遠くから見守ってくれている彼のために、私はこの歌を……
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