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お店もオープンし、取り扱いを説明しながら時間は過ぎる。
段々、打ち解けてきて、初めは、
「涌井さん」
と僕を呼んでいたのに気付けば、
「あんたさ」
と、あんた呼ばわりに。
暇な時間には、お互いの家庭の話をした。
僕の家庭の事。
長谷川さんの家庭の事。
長谷川さんには、男女ひとりずつの子供がいるが、十年以上前に離婚し、現在は二十三歳の娘と二人で暮らしている事。
朝はバス通勤だが、帰りは仕事帰りの娘が迎えに来るという事。
そして、お互いに携帯電話の家族の写真を見せあった。
初めて由宇を見た。
黒く長い髪の女性がはにかんだ笑顔でピースサインを作っていた。
「お母さん似でかわいい娘さんですね」
と僕は当たり障りなく言った。
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