出会い

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「失礼します」 由宇達の車の後部座席に僕は乗り込んだ。 運転はお母さんがしていた。 ちょっと洒落た居酒屋に到着。 店脇の駐車場に車を止め、降りようとした時、 「あら!携帯お店に忘れてきたわ!あんたら二人で先入ってて」 「ちょっとお母さん、私達、会ったばかりだよ!涌井さんだって困るでしょう」 (ゴモットモです) そう思いながら、 「じゃあ、僕が取ってきま…」 言い終わらないうちにまさかの逆切れ状態。 「早く降りなさい、席なくなっちゃうでしょ!」 「あ……はい」 「もう、お母さん……」 お母さんの気性を表すような動きで車は走り去ってしまった。 降ろされた会ったばかりの二人はしばらくその方向を見たまま立ち尽くす。 「あの、お母さんが、すみません、本当に強引で……」 「いえいえ、じゃあ、入って待ってようか」 「そうですね」 ぎこちなく店に入って行った。
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