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サラサラと舞い落ちるのは桜ではなく、桃の花…
桜のようにひらひらと舞い散る様はとても美しく、たまに風が運んでくる香りに目を閉じた…
もう、桃も終わりの時期だ…
目を閉じていると何処からか卒業のカノンが聞こえてきた
だが、あぁ…、今日は卒業式だな。と考えるだけでそこから動こうとはしなかった
パキン…と枝が折れる音が聞こえと思ったら、低い声が後ろから響いてきた
「何やってんだ?」
「…そっちこそ」
ふいに声をかけられ素っ気なく返事を返せば、相手は肩をすくめ苦笑いをした
「卒業生がさぼってたらだめだろ?」
「…お互い様でしょ?」
言われた言葉に不適な笑みを見せ答えれば、そりゃそうか。と笑った
そしてまた風が香りを運んできた…
とても甘く、優雅な香り…
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