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猛暑になった九月の夕刻。
西には消え残った太陽、東には小さな光を含んだ闇。
頭上には二つの色が混ざり合う紫がかった空。
その色もしだいに濃さを増している。
時間はあと少しで七時になろうとしていた。
歩道橋から見える大きな通りは、帰宅時間のためか普段より車が多い。
信号機が黄色から赤へと変わる。
車の流れが止まり、あっというまに列を作った。
歩道を制服姿の女の子が三人、笑いながら歩いていく。
その横を自転車に乗った学ラン姿の男子学生二人が走り抜けていく。
しばらくして、赤信号で止まっていた車が再びヘッドライトの光をうねらしながら動き出した。
学生たちの笑い声がそのエンジン音にかき消される。
風は生ぬるくて、制服に残る、制汗剤の微かな匂いが溶けていた。
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