せつない物語

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息苦しくなった車内の中で、ふと、ある妄想が浮かんだ・・・ ―マーキング― 自信と誇りというエキスを込めた小さな小瓶を自分のテリトリーのモノの周囲にふりまく女(ヒト)の姿・・・。 それはある者には甘美な媚薬でありながら、ある者には縄張りの主張にもなる・・・。 パワーウィンドウの窓を少し開ける。 それでも、ほのかな香りは薄いカーテンのように漂っていた・・・。 やんわりとした優しさを装いながら、しかし確実に、彼に近づこうとする者を絡みとろうとしているようだった・・・。
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