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少し肌寒い風が俺の頬を掠め、ブルッと小さく身震いする。
秋とは言え、さすがに夜になると気温は下がり、体から体温が抜けていく。
ハァーッと両手に息を吹きかけながら、彼女が出て来るであろう裏口を見つめ続けた。
携帯を開き時間を確認するが、まだ5分も経っていない。
待っている間程、時間とは遅く感じるものなのだ。
「まだかな…」
ポツリと呟いた俺の独り言は、上空を走っていた飛行機の音によって掻き消される。
時間が経つにつれ、肌寒かった風も冷たさへと変わってきた。自然に体がガタガタと震える。
この状態を【シバリング】っつーのか…
なんて、昔見たテレビをふと思い出しては、下らない事を考えて時間を潰した。
しかし、寒すぎる。
さすがにもう外では待てないと判断した俺は、時間を確認した
閉店までは一時間半もある。きっと彼女はまだ出て来ないだろう。
近くのコンビニで時間を潰すか…
と、踵を翻した時
「お疲れ様でした~」
裏口から小さな人影が目に飛び込んだ。
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