始まり

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この声は間違いない。 彼女だ! 街灯も殆どない暗闇の中で、目を良く凝らして、人影が動くのを確認する。 小さな人影は数少ない街灯の下を通り、一度だけ後ろを振り向いた。 その時に見えた人影の顔は、間違いなく彼女…磯山さん。 自分の中で 間違いなかった と完全な確信をした俺は、緩む頬を引き締めながら、ジャケットの襟を風よけとして立てた。 携帯で時間を確認すると、まだ21時を少し過ぎたところ。 今日は早上がりだったのか、それともいつもこの時間に終わるのか…。 気になる所だったが、考えているうちに彼女がスタスタと歩いて行ってしまったので、俺の思考は停止し、程よい感覚を空けながら磯山さんの後をつけた。
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