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スムーズに上がって行くエレベーターの中で、変な緊張感に包まれた俺。
別に彼女に会う訳でもないのに
話す訳でもないのに
チャイムを鳴らす訳でもないのに、ドクンドクンと心臓が早く波打っている。
きっと心のどこかで
【これはいけない事なんだ】
と無意識に思っていたからなのかもしれない。
それとも、この状況に興奮していただけなのだろうか…。
どちらにせよ、この時の俺には自分がストーカーだと言う自覚は全くなかった。
ただ、住んでいる所を目で見たかった。
それだけのつもりだったのだ。
少しずつ七階に近付く表示。
エレベーターのドアが開くと同時に、完全に開ききっていない隙間から体をねじ込ませるようにして廊下に出た。
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