始まり

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先程まで彼女が歩いていた場所に自分が居る。 この階に彼女が住んでいる。 緩む頬を必死で引き締めながら、彼女が入って行ったであろう玄関の前に立った。 707号。 ここが彼女の家。 玄関には【ISOYAMA】とローマ字で書かれた表札がある。 間違いない。 たった一枚の玄関で隔たれた俺と彼女の距離。 近いけれど…遠い。 彼女は何をしているんだろう?寝てるかもしれない お風呂に入っているかもしれない 彼女の事を何も知らないくせに、そんな事を考えている俺がいる。 その時…ガタンッと玄関から音がして、驚きから俺の肩が反射的にビクリと上がった。 
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