始まり

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体を動かせばバレてしまうかもしれない。 そんな思いから、指一本さえも動かせず、その場に硬直した。何とも情けない。 ガタンガタンと物音がする玄関を見つめ、変な緊張から汗ばんでいる手を握りしめる。 しかし、そのまま玄関が開く事はなく、パタパタと去って行くスリッパの音が微かに聞こえた どうやら玄関の鍵とチェーンを閉めに来ただけらしい。 さすがにソコは用心深いようだ 安心感から、ハァーッと大きな溜め息をつき、直ぐにその場を立ち去った。 勿論、足音がしないよう、慎重に気を遣いながら。
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