虚しさは突然に

2/4
前へ
/76ページ
次へ
「今日は電気代の請求書だけか…」 ポストの前に立ち、ポツリと呟く。 手にした請求書をまた丁寧にポストの中へ戻すと、ゆっくりその場を後にした。 勿論、先程手にしていたのは、俺の請求書ではない。 イコール、俺のポストではない 彼女…“磯山 栞“のポストだ 彼女の向かいのマンションに住んで、もう大分経つ。 毎日仕事の帰りにポストに寄っては、彼女に怪しい郵便物が届いていないかと確認していた。 そのおかげもあり、彼女の正式な住所も、フルネームも知る事が出来たのだ。 栞は未だ俺の存在など全く気付いていない。 もっと親密な関係になりたいものだと、いつも考えていた。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8963人が本棚に入れています
本棚に追加