始まり

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彼女から会員カードの説明を受けている間も、俺は彼女の顔立ちを見つめ、殆ど話しの内容など理解していなかったように思う。 いや、理解しようともしていなかった。 ただ、彼女の顔を近くで見て 彼女の行動一つ、ひとつを見て、彼女の声を聞きたかっただけなのだから…。 必死に説明をしてくれている彼女の胸を気付かれないよう見つめた。 ネームプレートに書かれた彼女の名前。 【磯山】と書かれている。 下の名前まで知る事は出来なかったが、俺は彼女の事を一つ知り、今までにない程上機嫌で帰宅した。 俺にとっては、そんな事でさえ大きな収穫だったのだ。
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