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ベランダに出ると、足場がギシッときしんだ。
夕暮れになると昼間より音が響き、毎度毎度不安になる程だ。
洗濯物は西日に照らされ、赤く染まっている。
今日の西日は刺すように熱くて痛い。
「あぁ、やだやだ。お肌がお肌が。」
そうぶっきらぼうに言いながら、洗濯物を急ピッチで取り込み始めた。
西日の眩しさに目を細めながら、とりあえず部屋の中に放り投げる。
そして、最後のハンガーを手にした時。
ガンッ
「いったぁーっ!」
バランスを崩して、爪先をプランターにぶつけてしまった。
片足でぴょんぴょんと跳ねて、持っていたハンガーを部屋の中に投げ込むと、その場にしゃがみ込んだ。
激痛の走った爪先を必死で撫でる。
「…うぅ、このプチトマトがぁ…!」
と、一瞬プランターを睨みつけて、赤くなった爪先を見下ろした。
「…ん?」
何かおかしい。
何がおかしいかって?
おかしいのはあたしの爪先…ではなく、プランターの方だ。
思わず、プランターに駆け寄った。
「…何してよ…。」
そこには、今晩のおかずになるはずのプチトマトがない。
「…どさ行くってな!?え?え?」
怒鳴りながらプランターの周りを覗き込んだ。
さっきの衝撃で落ちたのだろうか。
いや、そうだ。
きっとそうだ。
そんな簡単に一品のおかずを諦められない。
まだその辺に転がってるはずだ。
「…あっ」
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