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夕日があたしの顔を照らしている。
思わず、手摺りに頬杖をついた。
「…何やってんだ、あたし。たかがプチトマト1個だろうが…。」
確かに愛情込めて育てたプチトマトだ。
収穫をそれは楽しみにしていた。
だけど、最後の一つだった訳じゃないし、これからもっとたくさん成るかもしれない。
それを食べなきゃ死ぬわけでもない。
「…やぁめた。」
手に付いた錆を払って、真っすぐに立った。
汗が首筋を伝った。
「…あぁ、あたしは―」
ぽつりと呟いた時、目の前を黒い影がヒュンっと横切り、草むらの中に突っ込んでいった。
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