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あたしは大学を中退して、家の近くにあるコンビニでバイトをしている。
いわゆる、フリーターとかいうやつだ。
稼ぎはそれほど悪くないから、アパートを借りて住んでいる。
木造のぼろアパートだから、家賃も高くないし、エンゲル係数も高くない。
その上、これといった趣味もないから、お金には困っていないのだ。
さて、今日は久々の休日。
万年床の布団に大の字でうちわを扇いでいる、あたし。
掃き出しの窓は開け放たれて、蝉の声がやかましい。
枕元のラジオが雑音混じりで流れている。
『いやぁ、今日はジリジリじめじめと…あっついですねぇ』
「そんなに感情込めるなやぁ。余計暑いべなぁ。」
無駄に大声でラジオを野次る。
こんな薄壁じゃ筒抜けだろうな。でも、大丈夫。
このアパートは、あたし以外誰も住んでいないのだ。
もはや、あたしの家状態。
『もう、クーラーガンガン入れないと溶けちゃいますよねぇ』
「さぁて、あたしはそろそろ溶けましたかなぁ?」
むくっと起き上がって、汗で体に張りついたTシャツをパタパタする。
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