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「あぁ…洗濯干すの忘れたぁ」
重い体を無理矢理立たせて、パタパタと洗面所へ向かう。
洗濯機の蓋をそっと開き覗き込む。
朝食前に回した洗濯物が暑さで蒸されていた。
「わいぃ、やってまったじゃぁ」
慌てて洗濯物を取り出して、ベランダに向かう。
大して日も当たらないが、風通しはよいベランダ。
この暑さだ、きっと乾いてくれるだろう、と大慌てで洗濯物を竿に並べる。
そして、ふぅとそのまま窓側に腰を降ろした。
洗濯物が風に揺れている。
「よしよし。しっかり乾きなさいよ。…っと、お前は乾けばダメだ。」
思い出して台所へ行き、空のペットボトルに水をいれた。
水を一口飲みながら、またベランダへ戻る。
そして、プランターの前にしゃがみこんだ。
「完全にひからびてんじゃんかぁ。」
そう言いながら、プランターに植わっている二株のプチトマトに水を与える。
これはバイト先でパートのおばちゃんが分けてくれたものだ。
去年は一株だったが、今年は豊作だとか言われて二株ももらってしまった。
名前がついていれば、自ずと愛情が出てきたりするものだ。
それぞれの苗の前には紙スプーンがさしてあり、右には"トマ次郎"、左には"トマ三郎"と書かれている。
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