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「トマ次郎さんはもっと水分補給しなさいな。実のつきがよくないですよ。」
と言うのも、トマ三郎のほうには青い実が5、6個なっているのだが、トマ次郎には真っ赤に熟れてもう食べ頃なのが1個なっているだけなのだ。
「でも、まぁ、夕飯にこいつは頂きますがねぇ。」
ペットボトルの水を注ぎ終わると、真っ赤なプチトマトをちょんと指でつついてそう言った。
でも、本当のところ、このプチトマトがここまで成長したのは奇跡なのだ。
ちなみに去年は冷夏だったせいもあるのか、ちっとも育たず枯れてしまった。
というのも、このベランダは確かに南向きなのだが、目の前が樹木の生い茂った急斜面の小高い山のため、日がほとんど当たらないのだ。
苔なら喜んで育つだろうに。
だから、内心はプチトマト収穫記念パーティーでもやりたいくらい大喜びなのだ。
顔がにやけているのを当人は気付いていない。
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