二章「命日」

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喪服に着替えた俺は下に降りていった。 その頃には親父もお袋も喪服に着替えて俺を待っていた。 「なぁ?親父、今日の天気はどうなんだ?」 「・・・少し降るかもな。」 「そっか、姉さんはきれいな青空が好きだったのにね。」 「・・・そうだな、今日は少し雲があるな。」 「はい、はい、お父さんもタカフミもそろそろ、行きましょう。」 お袋はお供え物を風呂敷で包んでいた。 そうして俺ら家族は郊外にあるお墓に向かった。 今日は久しぶりに親父が運転する車に乗る。 あの日から親父は車に乗る事が極端に減った。 親父は昔から車好きだったらしい。 昔は姉さんと俺を連れてよくドライブに連れて行ってくれた。 その影響で姉さんも運転免許を取ってからは よく俺を連れてドライブに行ってくれた。 姉さんの運転する車の助手席は俺の指定席だった。 俺はそこから見る姉さんの運転する横顔が好きだった。 今日の親父は姉さんと仕草がかぶる。 そりゃそうだ、親子なんだもんな。 俺は1人で親父の横顔を見ながら笑ってしまった。 「どうした?タカフミ?1人で急に笑ったりして。」 親父が俺に聞いてきた。 「いや、昔よく姉さんが俺を連れてドライブに出てたじゃん。  その時の姉さんの仕草が親父と一緒なのに今、気付いたよ」 「当たり前じゃない、クミはお父さんの子どもなんだから」 後ろの席に座っていたお袋がそう言った 「確かにね、姉さんもかわいそうだね、親父に似るなんて」 「・・・クミは私に似て良かったと思うぞ。」 親父が呟いた、久しぶりだ。 姉さんの命日は決まってあの頃と変わらない空気がここにはある。 姉さんが居た頃と変わらない何気ない会話で笑う事ができる雰囲気 「まぁまぁ、お父さん、良いじゃないですか。  タカフミ、あなたもきっとお父さんに似てくるわよ。  あなたも、お父さんの子どもなんだから。」 お袋はそう言いながら笑っていた。 俺は、その言葉に笑うことが出来なかった。
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