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「どうしたの?タカフミ?」
お袋が聞いてきた
「何が?」
「さっきまで笑っていたのに急に黙りこくって。」
俺は親父の子どもじゃないんだろ?
そう聞きたかった。でも、それは出来なかった。
「いや、俺が親父に似るとこ、想像した・・・ちょっと。」
「いやーね、この子は。息子は父親に似るって相場が決まってるのよ。」
お袋が笑いながら俺に返した。
「・・・私に似るのは・・・いやか?タカフミ?」
親父が聞いてきた。
「いや、別にいやじゃないけど・・・」
「・・・いやじゃないけど、なんだ?」
「想像が出来ないって言うか、ほら、
俺って若い頃の親父を知らないしさ。」
なんとか誤魔化した。
そうこうしているうちに郊外の霊園に着いた。
「・・・やっぱり、いやか?」
親父はその事にしかふれない
「親父ウルせーよ!姉さんの前でもその話すんのかよ。」
「はいはい、もうお父さんも良いじゃないの」
お袋が止めに入った。
しばらく歩いて姉さんの眠る墓についた。
月命日の度にお袋がここを訪れ、掃除をしている。
そのお陰か、雑草はあまり生えてない。
お袋は前月来てお供えした花を取り替えて
線香を準備し始めた
「こら、タカフミ、お墓磨きなさい。」
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