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姉さんの墓参りを終えた俺らは車に戻る事にした。
もうかれこれ5本目のタバコでけむたさには慣れていた。
「なぁ親父、もう良いだろ?」
俺は休み無くタバコを吸ったせいでクラクラしていた。
同級生が言っていた「ヤニクラ」とはこの事だったかと思った。
しっかし、親父は昔から変なとこあったがここまで変だったとは・・・
普通、未成年の子どもにタバコ勧めるか?
やっぱおかしいだろ?
俺はそう思っていた。
「なぁ?親父!!聞いてるのかよ!!」
「・・・聞いてるよ」
そう言って親父は足を止め
後ろを歩く俺のところに来た
「・・・お前にこのタバコを預ける。」
「ちょっと、預けるってなんだよ?」
「・・・お前にこれを持ってて欲しいんだ。」
そして親父は俺にタバコとジッポライターを渡した。
タバコは真新しく、俺が持つ意味があるのかと思った。
でも、親父が本当に俺に持ってて欲しいのはタバコではなかった
一緒に渡したジッポを俺に持ってて欲しかったのだと俺は悟った。
親父から渡されたジッポは傷が付いていたが
見覚えがあるジッポだった。
そう、それは姉さんが使っていたものだった。
少し細くて、ハートの片側がほられている
裏側には二つの単語が縦に並んでいる
「LOVE」と「KUMI」だった。
親父は姉さんのジッポを俺に渡したのだった。
俺は親父に駆け寄り
「約束する。」
そう言って少し先を歩くお袋の元に駆け寄り荷物を持った。
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