一章「真実」

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保健室に着いた俺は無言のまま入っていった。 「あら?タカフミじゃない?どうしたの?」 そう言ってきたのは保健室の先生の「ユキ姉」だった。 「ユキ姉」は俺の姉の同級生で、俺が小さい頃から家に遊びに来ていた 「ユキ姉、ちょっと、ベット良いかな?」 「どうした?気分でも悪いの?」 「あ~、ちょっとね。」 「じゃ、横になりながらで良いから体温測って」 そういってユキ姉は俺に体温計を渡した。 「サンキュ」 俺はそれだけ言ってベットに行きまわりにあるカーテンを閉めた そして腕に体温計を挟みながら横になった。 少しすると体温計が鳴った。 「36.0℃・・・か」 俺はつぶやいた。 「ね?タカフミ?」 カーテン越しからユキ姉が俺に話しかける 「ん?何?」 「何℃だった?」 「37.5℃」 嘘をついてしまった。今日はあまり良い行いをしたとは言い難い。 「・・・そう。」 「少し、休んでも良いかな?」 「ん~本当はクラスにいって欲しいんだけどね」 その言葉を聞いて俺は黙ってしまった。 「ねぇ?タカフミ?」 「ん?」 「そっち行っても良い?」 「な?何?急に?」 そう言う暇もなくカーテンが開いた ユキ姉は思いつめた顔をしている。 「な、何?」 ユキ姉は反対側のベットに腰を下ろした。 「今日から二月だねぇ」 俺はその言葉でユキ姉が何が言いたいのか、わかった。 俺はユキ姉に背を向けるように寝返りをうった。 「クミが逝って今年で7年か・・・」 「・・・そうだね。」 「叔父さんと叔母さんは元気?最近顔出してないけど。」 「うん、二人とも元気だよ。」 「で?タカフミ、今年も学校休むの?」 「うん。そのつもり。」 「そっか、まぁ火曜日からは試験だからね」 「うん。わかってる。」 「私も月曜日にはお邪魔して良い?」 「うん、来てあげて。親父もお袋も喜ぶよ。」 「そうだね。仕事終わってから寄らせてもらうよ。」 「ねぇ?ユキ姉?もうそろそろ良いかな?って」 「何が?」 俺はこの言葉を言うか言わないか迷っていた。 でも俺は7年間考えてきた事・悩んできた事 それらを親父達には聞けなかった ユキ姉なら答えてくれると思った。 「ユキ姉、俺の父親って誰なんだ?」
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