一章「真実」

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おれはその事をユキ姉に話した。 ユキ姉は振り返り俺の顔をずっと見ていた 「後悔しない?」 ユキ姉はそう呟いた。 俺は、はっきりと聞こえなかったがそう聞いてるのだと確信した ユキ姉の顔がそう聞いてるからだ 「あぁ…後悔しないよ。」 「そ、良い?あんたのお父さんは生きてる。」 意味がわからなかった。 「はい?」 俺は思わず気が抜けた声を出してしまった。 それでもユキ姉は続けた。 「確かに、あなたのお父さんは、クミとあなたを捨てた でも、本当に何も知らなかったのよ。 あなたのお父さんは、クミが妊娠している事すら知らなかったの」 ユキ姉は俺が父親を恨んでいると思っているらしい。 もうそんな事は正直どうでもよかった。 俺の父親は親父だけだし 俺の母親もお袋だけだった。 姉さんはやっぱり姉さん以上の存在にはなれなかった。 確かに俺を産んでくれたのは姉さんだ。 でも今まで育ててくれたのは親父達だった。 姉さんは俺の命を救ってくれた。 それは感謝しているが、俺が姉さんに抱くものはそれだけだった。 正確にはそれ以外の感情を持つ事を拒否していた。
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