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おれはその事をユキ姉に話した。
ユキ姉は振り返り俺の顔をずっと見ていた
「後悔しない?」
ユキ姉はそう呟いた。
俺は、はっきりと聞こえなかったがそう聞いてるのだと確信した
ユキ姉の顔がそう聞いてるからだ
「あぁ…後悔しないよ。」
「そ、良い?あんたのお父さんは生きてる。」
意味がわからなかった。
「はい?」
俺は思わず気が抜けた声を出してしまった。
それでもユキ姉は続けた。
「確かに、あなたのお父さんは、クミとあなたを捨てた
でも、本当に何も知らなかったのよ。
あなたのお父さんは、クミが妊娠している事すら知らなかったの」
ユキ姉は俺が父親を恨んでいると思っているらしい。
もうそんな事は正直どうでもよかった。
俺の父親は親父だけだし
俺の母親もお袋だけだった。
姉さんはやっぱり姉さん以上の存在にはなれなかった。
確かに俺を産んでくれたのは姉さんだ。
でも今まで育ててくれたのは親父達だった。
姉さんは俺の命を救ってくれた。
それは感謝しているが、俺が姉さんに抱くものはそれだけだった。
正確にはそれ以外の感情を持つ事を拒否していた。
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