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それにしても。
気分はすっきりしたハズなのに、何かがひっかかっている。
「…なんか…忘れてる??」
自分で呟いてみて、記憶が呼び起こされた。
(……!!!!)
「あ゙ぁ゙――――!!!!」
そう。僕はリコーダー(楽器)演奏について、すっかり失念していたのだ。
この洞窟での朝を忘れることはないと、カイと三嶋は後に語った。
――――――――――……………
「ふぅ~…」
「なんとか形になりましたね」
「うん!ありがと、カイ」
「いえ」
僕は、昨日すでに三嶋に見捨てられていたため、今朝はカイに練習をみてもらった。
僕の叫び声で飛び起きた二人は、なんでもないことを知って朝からなんだかぐったりしていたけど。
カイの教え方はすごく丁寧だったから、僕も少しずつだけどまともに音が出せるようになり、ようやく「キラキラ星」を吹けるようになった。
(僕はこの感動を決して忘れない……!!)
ギリギリ体裁を取り繕えるところまできた。あとはハーメルンに向かうだけだ。
朝の食事を終え、休憩も十分とった。
「よしっ!じゃあ出発!」
「はい」
「あぁ」
こうして二人の騎士と僕は、残る道程を一気に突き進んだ。
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