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「ここがハーメルン……」
僕は目の前に広がる心踊る風景に言葉を失った。
そこはどこもかしこも音楽に満ちていた。
街角で歌う子供たち。
広場の噴水前で陽気に奏でる音楽隊。
どこかの店から聞こえてくるピアノの旋律。
すべてが音の雫で彩られている。
それを僕らは町の入り口だった扉を抜けたすぐそこにある小さな丘の上から眺めていた。
「すごい……!!」
「…いくぞ」
「あ。うん」
僕にはなんだか見るものすべてが新しいモノのように感じられて、目を奪われていたのだが、二人には(当たり前だけど)めずらしいものではないらしい。
三嶋に声をかけられて、僕らは町の中へと入った。
町の“扉”は意外と普通に山頂に立っていた。町の存在を知るものにしか見えないらしいけど。
なぜかそこに門番はいなかった。ただ三人とも楽器を演奏し終えた時点で扉が勝手に開いたのだ。
(三嶋のバイオリンは一度見ていたけど……)
カイの楽器には驚いた。不思議な音色のソレは、見たことのない形をしていた。
――――――――――――………
『ソレ、なんていうの?』
演奏し終えたカイに僕は開口一番聞いた。
『あぁ、ユウタの世界にはないかもしれないですね。これは銀枝(ギンシ)と呼ばれる…いわゆる弦楽器に近いですね』
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