悲しい決意

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「許しませんよ。」 「…へ?」 俺は、先輩の持つ紙切れを奪った。 「お、おい…」 「何ですか、アメリカって。冗談はやめて下さい。」 紙切れを丸めた。 怒りを込めて。 「なっ、何すんだよっ!」 「俺が行かせるワケないでしょう。」 丸めた紙をポケットに突っ込んで歩き出した。 「おいっ!リョウ!!」 無視した。 たぶん、この紙切れは、留学準備の書類かなにかだ。 捨ててやる。 燃やしてやる。 「リョウ!返せよ!!」 先輩は追ってきた。 「アメリカなんかに行かないと約束するなら、返しますよ。」 先輩の顔も見ずに歩き続けた。 怒りをアピールするかの如く。 そうすればきっと、考え直すと信じてたから。
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