795人が本棚に入れています
本棚に追加
「許しませんよ。」
「…へ?」
俺は、先輩の持つ紙切れを奪った。
「お、おい…」
「何ですか、アメリカって。冗談はやめて下さい。」
紙切れを丸めた。
怒りを込めて。
「なっ、何すんだよっ!」
「俺が行かせるワケないでしょう。」
丸めた紙をポケットに突っ込んで歩き出した。
「おいっ!リョウ!!」
無視した。
たぶん、この紙切れは、留学準備の書類かなにかだ。
捨ててやる。
燃やしてやる。
「リョウ!返せよ!!」
先輩は追ってきた。
「アメリカなんかに行かないと約束するなら、返しますよ。」
先輩の顔も見ずに歩き続けた。
怒りをアピールするかの如く。
そうすればきっと、考え直すと信じてたから。
最初のコメントを投稿しよう!