795人が本棚に入れています
本棚に追加
「分かってくれよ、リョウ。お前が応援してくれれば、おれも頑張れっからさ…。」
そんな風に、俺の良心を求められても、素直に応援なんてできない。
納得できるワケがない。
だってアメリカに行くって事は…
「…俺と、別れたいって事ですか…。」
「…違うよ…。」
俺がまっすぐ見つめて問うも、先輩は目を合わせない。
合わせようとしない。
「…違わなくないじゃないすか。アメリカへ行きたいって事は、そういう事でしょう?会わなくなれば、気持ちは薄れてく。先輩は、それを望んでるんでしょう?」
俺の声が震える。
先を想像して、俺は不安を覚えた。
「違う!別れたくてアメリカへ行くワケじゃねえ!それは誤解するなよ!」
先輩が声を上げる。
俺と別れたいからじゃない。
それは分かってる。
けど、皮肉の一つでも言わないと気が収まらない。
「おれ、もう決めたんだ。誰に何を言われようと、おれはアメリカに行く。」
─────どうして…
どうして、そんな悲しい事を言うんだ…
『誰に何を言われようと』
俺は、先輩の恋人じゃなかったのか…?
俺は、先輩の中に存在していないのか…?
先輩にとって、俺は何だったんだ…?
最初のコメントを投稿しよう!